第7回<海の豊かさを守ろうについて【SDGs目標14の実現】> 連載「一緒に学ぼう! SDGs 」一緒にSDGs を学び、取り組みに活かしていきましょう!

第7回<海の豊かさを守ろうについて【SDGs目標14の実現】> 連載「一緒に学ぼう! SDGs 」一緒にSDGs を学び、取り組みに活かしていきましょう!

SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みは、労福協の理念・ビジョンである「すべての働く人の幸せと豊かさをめざして、連帯・協同で安心・共生の福祉社会をつくる」「貧困や社会的排除がなく、人と人とのつながりが大切にされ、平和で、安心して働きくらせる持続可能な社会」とも合致します。
教えてくださるのはNPO地域振興再生機構の村松 真 副理事長です。

プロフィール
金山町役場・農林水産省勤務、山形大学地域教育文学部准教授兼東北創生研究所長を経て、現在、NPO地域振興再生機構副理事長
博士(農学)。専門は、地域計画学・地域づくり等。その他、県・市町村・NPO・民間団体等、各種役職を歴任。

SDGsの実現⑦
海の豊かさを守ろうについて【SDGs目標14の実現】

今回のテーマは、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の実現について考えることです。この目標の意味するところは、海洋・海洋資源を保全しながら、持続可能な利用を図ることです。私たちの生活する山形県は、美しい農業景観、豊かな森林景観、そして日本海に面した豊穣の海岸景観等がある風光明媚な県土です。今回は、山形県を代表する海岸景観である庄内浜を題材にSDGsを考えます。

庄内浜は、全長約70㎞、北側と南側は、崖が迫る岩場になっています。その間は、砂浜と松林がある庄内砂丘になっています。この庄内浜には、毎年、多くのゴミが漂着します。春になると、庄内浜には、おびただしい量のゴミが散乱しています。そのゴミの中で、世界的に深刻な問題になっているのが「海洋プラスチック」の問題です。

この問題については、2016年に開催された「ダボス会議」で、エレン・マッカサー基金の報告書の内容が大きな話題になりました。この会議は、1971年に発足した非営利財団「世界経済フォーラム」が毎年1月、スイスの保養地ダボスで開催する年次総会のことです。この会議には、世界を代表する政治家・実業家・学者等が多く参加し、世界に対する大きな影響力を持っています。

その報告書の内容は、海洋プラスチックがこのまま増加すれば、2025年には2億5千万t、27年後の2050年には8億5千万tになり、現在の魚類の資源量7億5千万tが、将来も減少することなく一定であると仮定すると、魚類の資源量よりも海洋プラスチックの量が多くなるという報告でした。プラスチックは、海洋で限りなく細かくなり、やがては魚類に取り込まれます。その結果、人間に様々な影響を及ぼすことは明白です。

実際、庄内浜に漂着するゴミは多種多様ですが、ペットボトルに代表される海洋プラスチックも多く確認されます。ペットボトルの文字には、日本語は勿論ですが、英語・ハングル語・ロシア語・中国語等が確認されます。庄内浜の漂着ゴミの状況から分かることは、国内だけではなく、日本海に面している国々、さらには日本海につながる海に面している国々からのゴミも漂着していることが推測されます。

これらの漂着ゴミは、毎年、地元住民やボランティア団体等の清掃活動により処理されますが、毎年同じことの繰り返しであり、根本的な解決策になっていません。国内のゴミであれば、恐らく、家庭等で捨てたゴミが、川を流れて海に到達するもの、海上や海岸で直接捨てられる場合が考えられます。

庄内浜の漂着ゴミ(6月の風景)

では、これらのゴミを減らすために、どうすればよいのでしょうか。先ず考えられることは、家庭や個人が意識的にゴミ処理を行うことが重要です。さらに、海洋ゴミは、1国だけの問題ではありません。そのため、様々な機会に、世界中に情報を発信していく必要があります。その上で、ゴミを出さない工夫、使い捨てをしない工夫をさらに進めていく必要があります。次回は、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」について取り上げたいと思います。

SDGs実現の①<SDGsの概要と取り組みヒント>
SDGs実現の②<SDGsの取り組み方法と地域化>
SDGs実現の③<持続可能な発展(Sustainable Development)>
SDGs実現の④<貧困を考える【SDGs目標1の実現】(前編)>
SDGs実現の⑤<貧困を考える【SDGs目標1の実現】(後編)>
SDGs実現の⑥<陸の豊かさを守ろう【SDGs目標15の実現】
SDGs実現の⑧<住み続けられるまちづくりをついて【SDGs目標11の実現】