第4回<貧困を考える【SDGs目標1の実現】(前編) > 連載「一緒に学ぼう! SDGs 」一緒にSDGs を学び、取り組みに活かしていきましょう!

第4回<貧困を考える【SDGs目標1の実現】(前編) > 連載「一緒に学ぼう! SDGs 」一緒にSDGs を学び、取り組みに活かしていきましょう!

SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みは、労福協の理念・ビジョンである「すべての働く人の幸せと豊かさをめざして、連帯・協同で安心・共生の福祉社会をつくる」、「貧困や社会的排除がなく、人と人とのつながりが大切にされ、平和で、安心して働きくらせる持続可能な社会」とも合致します。
教えてくださるのは山形大学地域教育文化学部の村松 真 准教授です。

プロフィール
金山町役場・農林水産省勤務を経て、山形大学地域教育文学部准教授兼東北創生研究所長、現在に至る。
博士(農学)。専門は、地域計画学・地域づくり等。その他、県・市町村・NPO・民間団体等、各種役職を歴任。

SDGsの実現④
貧困を考える【SDGs目標1の実現
】(前編)

「一緒に学ぼうSDGs」シリーズも今回で4回目になりました。今まで、SDGsの概要、SDGsの取り組み方法、持続可能な発展等について解説してきましたが、今回からは、「SDGs」の17のゴールについて考えてみたいと思います。まず最初は、第1のゴールについてである「貧困をなくそう」についてです。

2015年10月、世界銀行では、1日1.9ドル以下の収入しかない状況を貧困と定めました。1.9ドルとは、現在の円のレートで換算すると約260円です。また、同じく世界銀行のデータでは、2015年現在、世界の貧困に直面している人口は7億3400万人であると推計されています。この数字は、全世界の人口の10%、日本の人口の約6倍の人々が貧困に直面していることを表しています。しかし、1990年の貧困率36%、18億9500万人と比較すれば大きく減少しており、貧困は改善されてきていると言えます。
 世界の貧困・ゴミ捨て場を探す子供

一方、国内には貧困問題はないのかと問えば、実は国内にも貧困問題が存在しています。厚生労働省が毎月発表している「生活保護の被保護者調査」というものがあります。令和4年5月11日に発表された令和4年2月分の調査結果によれば、生活保護を受けている人の数は2,034,226人であり、山形県の総人口の2倍弱に及んでいます。

世帯数では1,633,865世帯であり、その内高齢者世帯が904,534世帯で全体の55.4%を占めています。高齢者世帯を除く世帯数は、729,331世帯で全体の44.6%を占めています。高齢者世帯の内、単身世帯が834,584世帯で全体の51.1%を占めています。この数値は、全生活保護者数の41.0%に達しています。

また、高齢者世帯を除く世帯数では、母子世帯が69,950世帯で全体の4.3%、障がい者・傷病世帯が407,798世帯で25.0%、その他の世帯が250,271世帯で15.3%でした。これらの結果から、高齢者の1人暮らし世帯に次いで障がい者・傷病世帯の生活困窮世帯が多く、そのため、貧困問題を考える場合、1人暮らしの高齢者、障がい者・傷病世帯に注目せざるを得ません。
村松准教授と高齢者の集い風景

高齢者には、国民年金制度がありますが、現状を考えると、多くの高齢者は年金だけでは十分な生活を送ることが難しいため何らかの仕事に従事しなければなりません。シルバー人材センター等の公的な機関が仕事を斡旋する場合もありますが、高齢者の場合、身体機能が低下し何らかの病気を持っている人が多く、働いても賃金が安い等、貧困問題を十分に解決するまでには至っていません。

障がい者には、就労支援制度、障がい者年金制度等もありますが、特に障害の程度が軽い場合は、これだけでは十分な生活を送ることができません。そのため、何らかの仕事をしなければなりません。現状では、障がい者に相応しい職種が少なく賃金も安いこと等から十分な収入を得ることができません。傷病世帯では、先ず病気を治すことが先決です。さらに、母子家庭の場合も課題が多くあるようです。

このように、国内にも貧困問題は存在し、「SDGs」の目標である「貧困をなくそう」については、世界の貧困をなくそうという取り組みも必要ですが、足元の国内の貧困問題にも目を向ける必要があります。
(次回、後編へつづく)

次回の「一緒に学ぼう! SDGs 」はSDGsの実現の⑤ -貧困を考える【SDGs目標1の実現】(後編)-です。
各ページへリンクします↓
SDGsの実現の①第1回<SDGsの概要と取り組みヒント>
SDGsの実現の②第2回<SDGsの取り組み方法と地域化>
SDGsの実現の③第3回<SDGsの持続可能な発展(Sustainable Development)>