第1回<SDGsの概要と取り組みヒント> 新連載「一緒に学ぼう! SDGs 」をスタート・ 一緒にSDGs を学び、取り組みに活かしていきましょう!

第1回<SDGsの概要と取り組みヒント> 新連載「一緒に学ぼう! SDGs 」をスタート・ 一緒にSDGs を学び、取り組みに活かしていきましょう!


SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みは、労福協の理念・ビジョンである「すべての働く人の幸せと豊かさをめざして、連帯・協同で安心・共生の福祉社会をつくる」、「貧困や社会的排除がなく、人と人とのつながりが大切にされ、平和で、安心して働きくらせる持続可能な社会」とも合致します。
山形県労福協では、新連載「一緒に学ぼう! SDGs 」をスタートします。教えてくださるのは山形大学地域教育文化学部の村松 真 准教授です。

プロフィール
金山町役場・農林水産省勤務を経て、山形大学地域教育文学部准教授兼東北創生研究所長、現在に至る。
博士(農学)。専門は、地域計画学・地域づくり等。その他、県・市町村・NPO・民間団体等、各種役職を歴任。各ページへリンクします↓
SDGs実現の②<SDGsの取り組み方法と地域化>
SDGs実現の③<持続可能な発展(Sustainable Development)>
SDGs実現の④<貧困を考える【SDGs目標1の実現】(前編)>
SDGs実現の⑤<貧困を考える【SDGs目標1の実現】(後編)>
SDGs実現の⑥<陸の豊かさを守ろうについて【SDGs目標15の実現】>
SDGsの実現の⑦ <海の豊かさを守ろうについて【SDGs目標14の実現】
SDGs実現の⑧<住み続けられるまちづくりをついて【SDGs目標11の実現】 >

SDGsの実現①
SDGsの概要と取り組みヒント

最近、SDGs(「エスディージーズ」と読む。)という言葉が、新聞・テレビ等でよく出てきます。SDGsは、「Sustainable Development Goals」の略称であり、「持続可能な開発目標 」と訳しています。2015年9月25日の国連総会で、持続可能な開発のために必要な行動計画として「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。この中で、今後15年間(2016年~2030年)の持続可能な開発のための17の目標と169の達成基準が示されました。これらの目標と達成基準がSDGsです。しかも、このSDGsには、「誰一人取り残さない」という共通理念があります。

また、SDGsは、新たに提唱されたわけではありませんでした。それ以前に「MDGs(「エムディージーズ」と読む。)」というのが提唱されていました。MDGsは、「Millennium Development Goals」の略称であり、「ミレニアム開発目標」と訳しています。MDGs は、2000年9月ニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された宣言と、1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を統合し、2001年から2015年までの世界の行動指針として提唱されたものです。MDGsは、当時の国連加盟国の全ての国(193カ国)と23の国際機関が合意し取り組むことになりました。

MDGsでは、8つの目標と21の達成基準が示されました。8つの目標には、「1 極度の貧困と飢餓の撲滅」「2 初等教育の完全普及の達成」「3 ジェンダー平等の推進と女性の地位向上」「4 幼児死亡率の引き下げ」「5 妊産婦の健康の改善」「6 HIV/エイズ、マラリア、その他の疫病の蔓延防止」「7 環境の持続可能性の確保」「8 開発のためのグローバルなパートナーシップの構築」の項目が掲げられました。これらの目標は、後にSDGsに継承されていくことになります。

しかし、これらの目標は、先進国主導で決められたものであり、開発途上国の意向が反映されていなかったという指摘を受けることになります。そのため、SDGsでは、MDGsの反省点を踏まえ、MDGsになかった目標も取り入れられています。例えば、「気候変動への対応」「雇用や労働の在り方」「都市の在り方」「格差是正」「平和の維持」「イノベーションの推進」「人権の尊重」「ジェンダー平等の確立」等です。
さらに、SDGsは、持続可能な開発を進める上で特に重要で不可分な「経済」「社会」「環境」の調和を図りながら、人類及び地球にとって極めて重要な指針として位置付けられ、世界中で歩調を合わせて取り組むことになりました。なお、SDGsの17の目標は、現在、ロゴマークが作成されており、その内容は次のとおりです。

SDGsの17の目標に関するロゴマーク

1 貧困をなくそう(あらゆる場所のあらゆる貧困を終わらせる。)

2 飢餓をゼロに(食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を進める。)

3 全ての人々に健康と福祉を(あらゆる年齢の人々の健康的な生活を確保し、福祉を進める。)

4 全ての人々に質の高い教育を(全ての人々に、広範で公正な質の高い教育を提供し、生涯学習を進める。)

5 ジェンダー平等を実現しよう(ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女児の能力強化を実現する。)

6 安全な水と下水施設を世界中に(全ての人々に、安全な水と衛生的な環境を提供し、水資源の持続可能な管理を実現する。)

7 全ての人々に安価で持続可能なエネルギーを(全ての人々に、安価かつ信頼できる持続可能なエネルギーの供給を行う。)

8 働きがい経済成長も (広範かつ持続可能な経済成長を実現し、全ての人々に快適で有意義な雇用の場と働きがいのある人間らしい環境を構築する。)

9 産業と技術革新の基盤をつくろう(強靱なインフラを構築し、広範かつ持続可能な産業を構築し技術革新を図る。)

10 人や国の不平等をなくそう(国内及び各国間の不平 等を是正する。)

11 住み続けられるまちづくりを(広範かつ安全で、強靱かつ持続可能な都市及び人間居住を実現する。)

12 つくる責任つかう責任(持続可能な生産・消費形態を確保する。)

13 気候変動に具体的な対策を(気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。)

14 海の豊かさを守ろう(持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な利用を図る。)

15 陸の豊かさを守ろう(陸上の生態系の保護・回復・持続可能な利用の推進、森林の持続可能な経営、砂漠化への対処、土地の劣化の阻止・回復、生物多様性の損失を阻止する。)

16 平和と公正をすべての人に(世界の平和を実現し、全ての人々に公正な司法の適用を図り、あらゆる場所において効果的で説明責任のある広範な制度を構築する。)

17 パートナーシップで目標を達成(持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。)

それでは、これら17の目標を達成するためには、どのように取り組んだらよいのであろうか。そのためには、先ずSDGsに取り組む国々が、SDGsの17の目標と169の達成基準を自国の実情に合わせて理解する必要があります。その上で、これらの目標と達成基準を実現していくことが大切であり、このような作業をSDGsの地域化と言います。この地域化がSDGs実現の重要なヒントになると思います。

次回の「一緒に学ぼう! SDGs 」はSDGs実現の② -SDGsの取り組み方法と地域化-です。
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SDGs実現の②<SDGsの取り組み方法と地域化>
SDGs実現の③<持続可能な発展(Sustainable Development)>
SDGs実現の④<貧困を考える【SDGs目標1の実現】(前編)>
SDGs実現の⑤<貧困を考える【SDGs目標1の実現】(後編)>
SDGs実現の⑥<陸の豊かさを守ろうについて【SDGs目標15の実現】>
SDGs実現の⑦<海の豊かさを守ろうについて【SDGs目標14の実現】>
SDGs実現の⑧<住み続けられるまちづくりをついて【SDGs目標11の実現】 >