第8回<住み続けられるまちづくりをについて【SDGs目標11の実現】> 連載「一緒に学ぼう! SDGs 」一緒にSDGs を学び、取り組みに活かしていきましょう!

第8回<住み続けられるまちづくりをについて【SDGs目標11の実現】> 連載「一緒に学ぼう! SDGs 」一緒にSDGs を学び、取り組みに活かしていきましょう!

SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みは、労福協の理念・ビジョンである「すべての働く人の幸せと豊かさをめざして、連帯・協同で安心・共生の福祉社会をつくる」「貧困や社会的排除がなく、人と人とのつながりが大切にされ、平和で、安心して働きくらせる持続可能な社会」とも合致します。
教えてくださるのはNPO地域振興再生機構の村松 真 副理事長です。

プロフィール
金山町役場・農林水産省勤務、山形大学地域教育文学部准教授兼東北創生研究所長を経て、現在、NPO地域振興再生機構副理事長
博士(農学)。専門は、地域計画学・地域づくり等。その他、県・市町村・NPO・民間団体等、各種役職を歴任。

SDGsの実現⑧

住み続けられるまちづくりを【SDGs目標11の実現】

今回のテーマは、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の実現について考えることです。この目標の意味は、人々の生活の場を安心かつ安全な居住環境に整備し、持続可能なまちのしくみを作っていくことです。それでは、山形県には、安心かつ安全な居住環境はあるのでしょうか、持続可能なまちのしくみがあるのでしょうか。


そもそも、SDGs目標11は、特に世界のスラム街の改善に焦点を当てたものです。この目標は、私たちの生活空間をさらに便利で住み易い環境にするため、住民一人ひとりが参加し、計画的に取り組み、適正に維持管理していく能力を向上させることが求められています。その他に、文化遺産や自然遺産の保護・保全努力、廃棄物の適正な処理・管理、緑地や公共空間の提供等、さらなる改善を図る積極的な取り組みが求められています。

令和5年10月1日現在の山形県の人口は、「山形県の人口と世帯数(推計)」によれば1,026,288人であり、このままでは恐らく3年以内に100万人を割り込むと予想されます。その結果、過疎化が益々進行し集落消滅等が起こり、県内各地でSDGs目標11が実現できなくなります。確かに、過疎化の問題は、スラム街の問題とは異なります。過疎化とは、人口が減少し、日常生活に多種多様な悪影響が出て、生活するのが難しくなっていくことです。そのため、県内の過疎地域では、過疎化を解決することがSDGs目標11を実現することになります。

山形市街風景

今、県内の過疎地域では、文化遺産や自然遺産はどうなっているでしょうか。いつの間にか産業廃棄物の処理場ができていないでしょうか。その結果、下流の地域に悪影響が出ていないでしょうか。公園、廃校等が放置され荒れ放題になっていないでしょうか。このような状況は、「住み続けられるまちづくりを」を実現できなくしています。

それでは、過疎化問題は、解決されるのでしょうか。今まで、行政を中心に様々な取り組みがなされてきましたが、過疎化に歯止めが掛かりません。全国的には、僅かですが、人口増加に転じている地域があります。その要因は、新規工場の進出、行政施策が功を奏した等があるようです。私たちも、今までの施策を再評価し、新たなまちづくり施策を考え、取り組んでみる必要があります。

金山町の小盆地

地方では、人口減少、少子化、高齢化、過疎化等により、SDGs目標11が実現できない状況にある地域が多くあります。何もしないこと、効果のない施策を繰り返すことは「無策」だと言わなければなりません。少子化対策では、子供対策が中心ですが、子供を産み育てていけるような親の対策は十分に行われているでしょうか。私たちは、今こそ「無策」を意識し、試行錯誤をしながら効果的な施策を実施していく必要があります。

次回は、SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」について取り上げたいと思います。

SDGs実現の①<SDGsの概要と取り組みヒント>
SDGs実現の②<SDGsの取り組み方法と地域化>
SDGs実現の③<持続可能な発展(Sustainable Development)>
SDGs実現の④<貧困を考える【SDGs目標1の実現】(前編)>
SDGs実現の⑤<貧困を考える【SDGs目標1の実現】(後編)>
SDGs実現の⑥<陸の豊かさを守ろう【SDGs目標15の実現】
SDGs実現の⑦<海の豊かさを守ろうについて【SDGs目標14の実現】 >